地理教育研究会綱領


 第二次世界大戦までのわが国の地理教育には科学性が乏しく国家主義、軍国主義の政策に奉仕する場合もあった。              

戦後地理教育は社会科教育の中で新生の途を歩むことになったが、戦前の地理学、 地理教育に対する批判は不徹底であり、従って、今日の激動する社会にあってその役割を生かすことがきわめて不十分であった。これは何よりも地理教育の目的の不明確さとして指摘できることだ。

 われわれはこうした現状を克服し、新しい地理教育の理論と方法を確立しなければならないと考える。新しい地理教育は、平和と民主主義をおしすすめる教育として存在しなければならない。そして、児童、生徒のもつ可能性を十分にひき出し、社会に対する科学的認識を高める努力を教育の他の分野と共におこなうのは勿論、ことに複雑かつ激しく激動する社会の実体の科学的な把握及び国際社会の動きや諸関係の中で日本民族の姿の理解などに力を入れなければならない。

 このため単に地理教育の実践家のみでなく、地理学研究者はもとより広く地理教育に関心をもつ人々の力を結集し相互批判、交流を重ね理論と実践の統一的研究を科学的教育的真実に依拠して自主的に進め、かつその成果を広げることをめざしている。

地理教育研究会規約


第1条
(名称) この会は地理教育研究会(略称地教研)と称する。
第2条
 この会は第2条の目的を達成するために次の諸活動と事業を行う。

第3条

  1. 地理教育における理論と実践の統一的研究。
  2. 研究会、調査、見学旅行等の開催。
  3. 機関紙・誌の定期的な編集、発行。
  4. 図書の編集、出版。
  5. 地理教育研究所の設置。
  6. 共同研究組織の確立。
  7. 他の民間教育団体との連携。
  8. その他必要な事項。

第4条

(会員) この会は第2条の目的に賛同し、一定の会費を納めるものを会員とする。

第5条

(機関) 1 総会、2 評議員会、3 理事会。

第6条

(総会) 総会はこの会の最高議決機関で、会員によって構成し、年1回理事会が招集して開く。但し、評議員会が必要と認めた時には臨時に総会を開く。総会は次のことを行う。

  ①会務の報告、②会の活動方針の決定、③役員の選出、④予算の決定と決算の承認、綱領、規約の決定ならびに変更、⑥その他重要な事項の決定。

第7条

(評議員会) 評議員会は総会につぐ議決機関で評議員・理事によって構成し、総会にかわって会の活動に重要な事項を審議決定する。評議員会は年1回以上理事会が招集して開く。

第8条

(理事会) 理事会は総会・評議員会の決定に基づいて、日常の会務を執行する。理事会には会務を処理するための事務局をおく

第9条

(役員) この会には評議員若干名、理事若干名、会計監査2名、また、顧問をおくことができる。任期は2年、重任をさまたげない。

第10条

(会員種別と会費) この会の会員の種別と会費を以下のように定める。

 1. 一般会員(年会費4000円)

 2.学生会員(大学生および大学院生/年会費3000円)

 3. シルバー会員(65歳以上の希望者/年会費3000円)

 4. 終身会員(60歳以上の退職時に希望する者および退職者のうちで希望する者/終身会費30000円)

 会計年度は8月1日から翌年7月31日までとする。

第11条

(経費) この会の経費は会費収入、事業収益金及びその他をもってこれにあてる。

第12条

(退会) 1年以上会費を納めないものは原則として退会したものとみなす。

第13条

(細則) この規約を施行するために必要があれば別に細則を決める。

第14条

 (施行) この規約は1964年4月29日より施行する。(1967年、1971年、1974年、1976年、1980年、1991年、1992年、1998年、2002年、2008年、2012年、2022年、2023年に一部改正)